『THE EQ GYM WORKBOOK』を読んで、自分の感情を言葉にできた話
数ヶ月ぶりに連絡してきた友人に「どうして距離を置いたのか」と聞かれたとき、頭の中に何も浮かばず、その場でうまく答えることができませんでした。嫌いになったわけでもなく、何か決定的な出来事があったわけでもないのに、気づいたら自然と会わなくなっていた関係で、その理由を自分でも説明できない状態だったことに、少し戸惑いを感じていました。
そのあと、昔買って途中で止まっていた『THE EQ GYM WORKBOOK』を思い出し、久しぶりに読み直してみました。この本は、EQの重要性を説明するだけではなく、感情をどう扱うかを具体的なワークとして整理している点が特徴で、特に印象に残ったのは「感情は気分ではなくデータである」という考え方でした。これまでの自分は、なんとなくモヤっとする違和感や小さなストレスを、そのまま曖昧な状態で流してしまうことが多かったのですが、この本ではそれらを一つずつ言葉にしていくことが前提になっています。
Know Yourself / Choose Yourself / Give Yourself という3つのステップも、一見シンプルに見えますが、実際に自分に当てはめてみると簡単ではありませんでした。自分が今どんな感情なのかを正確に捉えること、その感情に対してどう反応するかを選ぶこと、そしてその選択を行動として外に出すこと、そのどれもが普段ほとんど意識できていなかったことに気づかされました。
実際にワークを進めながら、あの友人との関係について改めて振り返ってみると、最初は「なんとなく合わなくなった」という曖昧な言葉しか出てこなかったものの、少しずつ分解していく中で、会ったあとにどこか疲れていたことや、会話の中で必要以上に言葉を選んでいたこと、自然体でいられなかった感覚など、具体的な体験として思い出せるようになりました。その積み重ねを見ていくうちに、「合わない」というよりも「無理をしていた」という表現のほうが近かったのだと理解できるようになり、さらに言えば、その関係の中にいる自分自身をあまり好きでいられなかった、というところまで言語化できたのは大きな変化でした。
この本の中で、特に強く残った一文があります。
When we’re focused on taking, we never have enough, we are never enough, and we are profoundly alone. When we are giving there is abundance, we are more than enough (which is why we can give), and we are deeply connected.
最初に読んだときは少しきれいごとにも感じましたが、今回読み直してみて、この一文がこの本の中心にある考え方だと理解できました。人は足りないものを埋めようとして「もっと欲しい」「もっと認められたい」と外に求めがちですが、その前提のままだと、どれだけ満たしても常に不足感が残ります。一方で、「与える」という視点に立つと、自分はすでに十分に持っているという感覚に変わり、その状態だからこそ他者とも自然につながれる、という構造になっています。
また、「6秒間のポーズ」という考え方も実用的でした。感情が動いたときにすぐ反応するのではなく、少し間を置くことで、反射的な行動ではなく選択としての行動に変えることができるというものですが、これまでの自分は違和感を感じても立ち止まらずに流してしまうことが多く、その小さな積み重ねが結果的に距離につながっていたのだと整理できました。
読み終えたあと、自分の中で一つはっきりと変わったのは、感情に名前をつける意識を持つようになったことでした。「なんとなく嫌だ」で終わらせるのではなく、「疲れているのか」「気を使いすぎているのか」「不安なのか」といった形で具体的に捉えることで、その後の行動の選び方が少し変わります。
最終的に、その友人にも自分なりに言葉にして返事をしました。関係を戻したいというよりも、少なくとも自分の中で整理された状態で向き合いたいという気持ちのほうが強く、距離を置くことと、曖昧なまま終わらせることは別だと感じたからです。
この本は、EQを「理解するための本」というより、「使える状態にするための本」でした。感情を抑えるのではなく、データとして扱い、選び、行動につなげていく。その一連の流れをここまで具体的に落とし込んでいる点で、かなり実践寄りの一冊だと思います。